大型連休を利用した羽田空港発着などの海外旅行の需要が、連休開始直前になり一部活況を呈している。
LCC各社の国内線就航や「アベノミクス」効果などが後押しし、国内旅行の需要が拡大している今年の大型連休。一方の海外旅行は、長期の休暇がとりにくい日程パターンに加え、領土問題・北朝鮮ミサイル・新型インフルエンザなどの社会情勢が影を落とし、長い日程のヨーロッパは堅調なものの、短期間で行けるアジア方面は大きく伸び悩み、海外旅行市場全体の需要は昨年比で最大5%減少し計56.6万人にどどまるとの予測もある(JTB、4月)。
こうした状況の中、連休開始直前の4月下旬以降、一部のマーケットで「駆け込み購入」の動きが見られるという。例年この時期にはほぼ満席になる航空便やホテルの空席・空室を埋めようと、航空会社らが料金を大幅に値下げしていることと、国際情勢などの推移を見守っていた人たちがこの段階で出発を決める傾向があることなどが主な理由。「ダイナミックパッケージ」と呼ばれる、旅行者自身が一定の範囲で航空会社やホテルを自由に組み合わせて同時購入できるオンライン販売が好調に推移している。
オンライン旅行サイト「ena(イーナ ドット トラベル)」を運営するエアプラスの仕入マーケティングディレクター・登山幸典さんによると、ダイナミックパッケージは通常のパッケージ旅行と異なり出発直前まで購入できるのが特徴で、特に4月22日以降、利用者の購買行動の拡大が顕著だという。「航空運賃は近距離の東アジア路線を中心に価格変動の幅が大きく、現時点の購入であれば3月末と比べ最大で40%以上割安なものもある。目的地によっては連休中の購入・出発も可能」と登山さん。
この傾向は羽田空港発着だけでなく、成田を含む国内の主要空港でもおおむね同じで、今年の大型連休の旅行トレンドが「これまで欧米の旅行市場で主流だった『出発直前の割安で購入する』スタイルが今後、日本でも一般的になるきっかけになる」と指摘する専門家もいる。