
帝国不動産株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:木本啓紀、以下「帝国不動産」)は、2026年5月26日(火)に開催された不動産業界向けイベント「賃貸AIテックDAY」において、賃貸管理業務におけるAI活用事例を公開しました。
本イベントには、AI活用を推進する先進企業11社が登壇し、会場・オンライン配信を合わせて不動産会社関係者ら約260人が参加しました。
当日は、AIX推進室長の田村有慶が登壇し、独自AI基盤「ACAT」を活用した入居審査業務の自動化や、社内ナレッジ活用の取り組みを紹介しました。あわせて、AI活用により創出した時間を、入居者・オーナーとの対話や投資判断など、人が担うべき業務に活用していく考えを説明しました。
【関連リンク】
・賃貸AIテックDAY 公式サイト
https://zenchin-fair.com/aitechday/
・全国賃貸住宅新聞「賃貸AIテックDAY」開催レポート
https://www.zenchin.com/news/content-5582.php
賃貸管理業務では、入居者対応、オーナー対応、契約管理、入居審査など、多くの業務が日々発生します。これらの業務には、定型的な確認作業と、担当者の経験に基づく判断が混在しており、効率化と品質維持の両立が課題となっています。
帝国不動産は、土地仕入れから設計・施工、賃貸管理までを一社一貫で展開しています。一方で、入居者、オーナー、物件に関する情報が部門ごとに分かれて管理されていたため、データを横断的に活用しづらいという課題がありました。
この課題に対応するため、2023年に基幹システムを内製化し、社内データの統合を進めました。その基盤を活用し、2024年7月にAIX推進室を立ち上げ、AIを活用した業務支援体制の構築を進めています。
本セッションでは、全国賃貸住宅新聞社の河内鈴氏を進行役に、帝国不動産、ユーミーClass、日本エイジェントの3社が登壇しました。

左から、進行役 全国賃貸住宅新聞 取締役 新聞編集長・河内鈴氏、帝国不動産 AIX推進室・田村、日本エイジェント 常務執行役員・樋口氏、ユーミーClass スマートテクノロジー推進室 課長・菊池氏
ユーミーClassからは、営業力向上を目的としたAI活用事例が紹介されました。AIロープレや社内チャットボットを活用し、若手社員の提案力向上や業務支援を進めていることを説明しました。
また、日本エイジェントからは、入居者対応の音声ロープレや、オーナー向け報告書の自動生成など、現場業務に直結したAI活用事例が紹介されました。

帝国不動産は、社内コミュニケーションツール上で利用できる独自AI基盤『ACAT』を活用した業務効率化の取り組みについて紹介しました。
『ACAT』では、文章作成支援や議事録作成に加え、社内データやマニュアルを活用した業務特化型AIを実装し、全社員が日常業務のなかで活用できる環境を整備しています。
今回のセッションでは、入居審査業務におけるAI活用事例として、実際のデモ画面を公開しました。
従来は、申込書の内容確認や条件照合に多くの時間を要していましたが、必要書類の確認や内容照合、スコアリングなどをAIが支援することで、1件あたり約60分かかっていた業務を、約10分まで短縮することを見込んでいます。
また、社内マニュアルや過去事例を横断的に検索できる機能も実装しており、対応品質の平準化も進めています。
AI活用のテーマは、現場ヒアリングをもとに、削減効果や財務インパクトなどを独自にスコアリングし、優先順位を決定しています。投資対効果の高いテーマから実装を進めることで、年間数万時間規模の工数削減と、数億円規模の財務効果を見込んでいます。
セッションでは、田村が「AI戦略の本質は人員削減ではない。今の社員数のまま、少数精鋭で売上・利益を伸ばし、アウトプットを最大化していくことが重要」と説明。AIによって生まれた時間を、顧客対話や投資判断など、人が担うべき業務へ再配分していく考えを示しました。

セッションでは、「AI活用をどのように現場へ浸透させるか」というテーマについても議論が交わされました。
菊池美穂氏(株式会社ユーミーClass):
「最初はオンラインで勉強会をしたんですが、みんなの理解度や温度感が見えなくて。その後、各営業所に実際に足を運んで、スタッフと顔を合わせたときに初めてほんとうの理解度が分かるんですよね。その人に分かる言葉でレクチャーするという、すごくアナログで地道な動きをしたことで、スタッフのITリテラシーも把握できるようになりました。それからは、勉強会で難しい言葉を使うのをやめて、実際の現場での使い方を噛み砕いて伝えるようにしています」
田村有慶(帝国不動産株式会社):
「経営層のバックアップは絶対に必要です。ただ、DXやAIXの推進は、トップダウンだけでは現場に浸透しません。だからこそ、現場に寄り添ったボトムアップのアプローチを重視しています。各部門にヒアリングしてユースケースを整理し、AIX推進室が主導でマニュアルを作る。それを現場のリーダーから発信してもらうことで、少しずつ現場に『ファン』を作っていくことを意識しています」
樋口孝幸(日本エイジェント):
試験的に社内で生成AI講座を開催したとき、初回テーマが「GASを使ってGoogleフォームを5秒で作ろう」というものでした。ところが、Googleフォームを作ったことがない人もいて、業務や担当領域によってITツールへの理解度や利用経験がかなり違うことを実感しました。全社員が同じように活用できる環境を整えることは理想ですが、一方で、自分で有料版GPTに課金したり、勉強会に自ら参加するなど主体的に学んでいる人は、与えられて使う人とは必ず差が生じていると感じています。そうした違いも前提にしながら進めていく必要があると思っています」
3社に共通していたのは、AIを単に導入するのではなく、現場の理解度や業務実態に合わせながら、「実際に使われる状態」まで落とし込むことを重視している点でした。
帝国不動産は、今後もAIとデータを活用し、賃貸管理業務の生産性向上と顧客対応品質の向上に取り組みます。また、独自賃料データベースとAIの連携を進め、データに基づく投資判断の精度向上を図ります。属人的な判断に頼りすぎない業務基盤を整え、オーナー、入居者、社員にとって価値ある不動産管理サービスの提供を目指します。
■ 帝国不動産株式会社について
2026年5月、株式会社アーキテクト・ディベロッパーより社名変更。帝国不動産は、「美しい暮らし方を住まいから」を企業理念に掲げ、賃貸集合住宅の開発・管理を一社一貫体制で手掛けているのが特長です。データ駆動型の経営とファイナンスのプロ集団の専門知見、そして社員の情熱を原動力に、オーナー・投資家・居住者へ「最善の答え」となる価値を提供しています。今後は、50年、100年先まで見据えた暮らしと資産のパートナーとして、次代の地域の未来を共創することを目指しています。
詳細
https://teikokufudosan.jp/