多摩川アートライン2008プロジェクトは6月9日、羽田空港第1旅客ターミナルのギャラクシーホールでシンポジウム「世界の創造都市東京をめざして」を開催した。
同シンポは、同プロジェクト実行委員会が東京商工会議所大田支部とともに主催。2010年に羽田空港の再国際化を控えた東京が、新しい産業や文化を生み出す「世界の創造都市」としてどのような可能性を示すことができるかを、アートを軸に考察しようと企画された。
プログラムは、「再国際化する羽田空港と周辺エリアを考える」「多摩川流域はクリエーティブ経済のステージとなれるか?」「アートが多摩川エリアとアジアを結ぶ」という3つのテーマに分けられ、約3時間にわたって対談・パネルディスカッション・プレゼンテーションなどが繰り広げられた。出演者はデザイナー・浅葉克己さん、青山学院大学教授の井口典夫さんなど、アート・都市プランニング・地域ビジネスなどに関わる専門家ら12人。
定員が400人の会場はほぼ満席に。多摩川沿線から羽田空港のエリアを東京のアートの集積地にしようというアイデア、「創造都市」のあり方、近隣のアジアの都市からの提案などに、来場者は熱心に耳を傾けた。地元からの参加した男性は、「羽田の国際化とアートを結びつけて、それを空港の中で話し合うことは地域にとって大きな刺激」と話した。
多摩川アートラインプロジェクトは、東急多摩川線エリアの鉄道(アートライン)・駅(アートステーション)・街(アートタウン)を舞台に、市民と企業が取り組む現代アートによるまちづくり活動。キュレーターで美術評論家の清水敏男さんがアート・ディレクターを務める。昨年の「アートラインウィーク2007」では16組のアーチストによる22作品を、同線の全7駅と沿線の神社などに設置したほか、ワークショップやイベントなどを開催した。
同シンポでは、同プロジェクトの今年の展望として、活動の舞台に「空(アートスカイ)」を加えると発表。さらなるプロジェクトの広がりが期待される。「アートラインウィーク2008」は11月1日~9日に開催予定。