東邦大学医学部大森キャンパス(大田区大森西5)で8月7日・8日、「小学生・夏の医学校2009」が開催された。
同イベントは、医療・生命科学の向上には小学校高学年からその興味の芽を養うことが重要と考える同学部が、小学生に楽しく人体の仕組みや病院の仕事を知ってもらおうと企画したもの。開催は昨年夏に続き2回目。小学4年生~6年生を対象にした60組(親子ペア)の定員に対し、寄せられた応募総数は118組と前回を大幅に上回る盛況ぶりだった。当日は抽選で選ばれた60組が会場に集まり、中には宮城や秋田など遠方から足を運ぶ親子もいた。
小学生たちは同大学特製の白衣と医療従事者のIDに見立てた名札を着用し、初日午前は同大学の医師・看護士らの指導の下、自動体外式除細動器(AED)による救急蘇生法や聴診器・血圧計を使ったバイタルサインの測定について学んだ。
複数のグループに分かれて行った救急蘇生法の実習では、最初は緊張気味だった小学生たちも次第に声を出し始め、中には親を通行人に見立てて「119番に通報してください」と本番さながらの指示を出す場面も見られた。AEDの指導にあたった同大救急救命センターの本田満副センター長は、同実習の趣旨について「細かい技術を覚えるということではなく、身の回りの人が具合悪くなったときに自分に何かができるという気持ちを持ってもらいたい」と話す。実習を終えた小学生の一人は「将来お医者さんになりたいかどうかはわからないが、人が倒れたら人を呼ぶことぐらいはできると思う」と話していた。
午後の部では「心臓の働き」「血液・血球の働き」「微生物の働き」の3つテーマから参加者が選んだ実験に挑戦。2日目には、院内の病棟や手術室、救急外来などの施設見学のほか、看護実習では新生児の看護や、小児看護、車いす移送などの介助を体験した。
実習終了後に行った修了式では、参加者全員に修了書と、同大学オリジナルグッズなどの記念品が授与された。同大高松研副医学部長は「ここでの体験を通して、少しでも命について親子で話をしてもらう機会を持ってもらえれば」と話す。