羽田空港の4本目の滑走路(D滑走路、長さ2,500メートル・幅60メートル)の建設工事が、2010年10月の供用開始を目指して順調に進んでいる。
新滑走路建設は同空港の再拡張事業の一環で、国交省東京空港整備事務所が管理する。現空港の沖合約620メートルに位置し、多摩川河口に近い約3分の1は水流への影響が少ない桟橋形式となる。埋め立て部と桟橋部を組み合わせる「ハイブリッド構造」の海上滑走路は世界でもまれ。
海上工事は雨・風・気温など天候の影響を受けるほか、供用中のA滑走路を発着する航空機に影響を与えないよう巨大クレーンなどの使用にも制限がある。厳しい条件にありながらも24時間365日昼夜連続で効率的に進められる工事には、外部の建設関係者が施工技術などの見学に訪れることもあるという。
現在までに埋め立て部では周囲の築堤がほぼすべて姿を見せており、内部の埋め立て作業が進む。桟橋部では全198基のジャケットの60%にあたる119基の据え付けが完了(3月9日現在)。滑走路・誘導路面の床版の設置も進み、肉眼でも「海上滑走路」のほぼ全容が確認できる状態になっている。現空港と滑走路島を結ぶ接続部でもジャケットの据え付けが70%完了した(同)。
新滑走路の供用開始後は、同空港の年間発着能力が現在の29.6万回から40.7万回に引き上げられる。1日あたりでは810回から1,115回の増加となり、国際化が進む同空港の機能の拡大を担う。