大田区・品川区・都・国は10月27日、羽田空港の沖合移転事業に伴って生じた「跡地」の開発について「羽田空港跡地まちづくり推進計画」をとりまとめ、合意した。
対象の土地は、羽田空港の滑走路やターミナルビルの沖合側移転により「跡地」として空いた約53ヘクタールの国有地の中の、市街地に隣接する天空橋駅周辺から国際線地区南側にかかる約16ヘクタール。2008年3月に地元の2区・東京都・国土交通省で構成する羽田空港移転問題協議会が策定した「羽田空港跡地利用基本計画」を踏まえて、土地利用の具体化・基盤整備のあり方・まちづくりの進め方についての指針を示し、その具体化を推し進める内容。
計画では、市街地に近い「第1ゾーン」(約11ヘクタール)を「空港・市街地近接性を生かした創造と交流ゾーン」に、国際線ターミナルに近い「第2ゾーン」(約5ヘクタール)を「国際線地区に隣接することを生かした交流ゾーン」に位置付ける。これ以外のB滑走路に近い「第3ゾーン」は今後の空港連係機能に生かすため、対象外とした。
基本方針では、「空港を生かす」「空港と連携する」「周辺と調和する」を視点に据え、「緑と水辺に囲まれ、空港と隣接する立地を生かした、多様な人々が行き交い、魅力とにぎわいのある、世界とつながるまちの実現」をコンセプトにする。
具体案には、第1ゾーンに「産業・文化交流機能」として地域産業と海外市場をつなぐ交流・展示場施設や多目的広場を設置し、第2ゾーンには24時間空港と一体化した機能としてホテルなどの商業機能を導入する計画が盛り込まれた。ライフラインなどの基本施設なども整備する。想定される従業者数は合計約2,400人で、利用者は1日約13,500人。
「推進計画」は大田区が2008年に独自に策定した「羽田空港跡地利用OTA基本プラン」の内容をほぼ織り込むもの。大田区の空港担当者は「(独自プランから)さらに踏み込んだ具体案が含まれており、開発計画の前進の大きなステップとなった」としている。区では土地の一部を国から取得する方針も打ち出している。
今後、パブリックコメントや民間事業者からの提案などを検討しながら開発計画を具体化。約5年後から段階的にエリアを整備・開放し、約10年後の2020年ごろに「まちづくり」を完成させる予定。