「芸術の秋」が深まる中、東急多摩川線の駅舎や沿線に設置されたアート作品がその存在感を高めている。
作品は、同線沿線の市民と企業が取り組む現代アートによるまちづくり活動「多摩川アートラインプロジェクト」によるもの。キュレーターで美術評論家の清水敏男さんがアート・ディレクターを務め2007年より、地域の「鉄道(アートライン)」「駅(アートステーション)」「街(アートタウン)」を舞台にさまざまな作品の設置・展示やシンポジウム・イベントの開催などを展開している。
作品の中には、矢口渡(やぐちのわたし)駅の木造駅舎の構造体を白く塗った「D85-90D」(作・神谷徹さん)や新田神社境内に置かれた「意志の彫刻『LOVE神社』」(作・浅葉克己さん)などがある。日常の風景にしっかりと溶け込んだ優れたアート作品が、晩秋を迎えてその静かに輝きを増している格好だ。
昨年11月に開催したイベント時より、活動の舞台には「空(アートスカイ)」が追加された。2010年の羽田空港国際化を念頭に、多摩川沿線から羽田空港のエリアを東京のアートの集積地にしようというアイデアの下、アーチストや作品の国際交流を進めている。同プロジェクトによると同年春ごろに、これまでの3年間の活動を総括するシンポジウムを開催する予定だという。