首都高速道路(本社=千代田区)は9月27日、建設中の「川崎縦貫線」(川崎市川崎区富士見1~浮島町地先)で進められている「MMST(マルチマイクロシールドトンネル)工法」によるトンネル建設現場を一般公開した。同線は羽田空港から多摩川を挟んだ対岸の川崎市臨海部で首都高横羽線と湾岸線・アクアラインを結ぶ新路線。
公開は同社が昨年より開催する関東各地の道路施設や建設現場の見学イベント「首都高講座」の一環。当日は2回開催し、それぞれ事前に応募し抽選で選ばれた親子連れや大人のグループ約25人が参加した。初回は今年3月に開通した「大師出入口」を見学。同線完成時にはジャンクションになる地上設備の複雑な構造や環境への取り組みの説明を受け、その後に地下約30メートルのトンネル建設現場に降りた。
「MMST工法」とは、トンネルの外郭の縦横の壁を小型の四角いシールドマシンで掘り、それらをつなぎ合わせることで内部に巨大なトンネルを造る最新工法。通常は円形となるトンネル断面が四角形となり、地下空間を効率よく使えることが特徴だという。2層の高速道路と複数のライフラインの共同溝が通る巨大な都市トンネルに同工法が取り入れられるのは、同工事が「世界初で世界最大」(同社広報担当者)。
参加者らは工事中のトンネルの「断面」を間近に見学し、完成時には車線となるトンネル内を約2キロにわたって歩いた。最後は川崎区浮島付近で地上に出る工事現場から、多摩川の対岸に羽田空港を臨み、それぞれ思い思いに記念写真を撮影した。「高速道路が好き」で父親とともに足立区から参加したという小学生は「一つの道路の工事なのに、こんなに大きくて驚いた」とトンネル工事の規模の大きさに驚いていた。
同工事区間は2010年度末の開通を予定している。