総合印刷会社の金羊社(大田区鵜の木2)のサインアンドディスプレー事業部門「OTA S&D FACTORY」は今年4月、最先端の大型インクジェットプリンターを使用してオリジナルデザイン路面化粧版「ゆかプリ」を開発。現在、高品質の新商材として市場展開に取り組んでいる。
道路や歩道の表面に埋め込まれている案内標識などは従来、図柄を印刷したシールを路面のブロックやタイルに張り付けていた。「ゆかプリ・レギュラー」は、オリジナルデザインを高解像度で直接素材に出力する。平均で通常のポスターの2倍となる1,200dpi、最高で1,800dpiの解像度になり「表現力が飛躍的に高まる」(同社担当者)という。また表層に特殊コーティングを施すことで色彩耐用は10年以上、対摩耗性は工場塗りの床に比べて5~10倍の強度となる。
同新商材の開発を可能にしたのは、同社が国内で最初に導入した大型フラットベッドUVプリンター「Inca Columbia」。最大3.2×1.6メートル、最大厚さ4センチの平面素材にダイレクトプリントができる。耐久性・速乾性に優れたUV硬化インクを使用することで屋外耐候性能が2~3年の大型サイン・ディスプレーの製作ができるという。
同社が同プリンターの機能を生かして独自開発した「ゆかプリ」は、「フルカラー・超耐久・安価」(同)が特徴。すでに首都圏の集合住宅・緑地公園・新規商業施設などでの施工実績があるほか、港区から「打ち水サインタイル」を受注しJR田町・新橋駅前に約300個を設置した。商品ラインアップとして、シール状のサインシート「ゆかプリ・ポリシー」とデザインをセラミックで焼き固める「ゆかプリ・HG」も用意する。
同社は創業から82年の歴史を持ち、オーディオ・ビジュアルやゲームなどのエンターテインメントパッケージ関連の印刷加工製作では業界トップ。音楽CDのジャケット印刷の分野では約50%のシェアを持つ。