お台場の商業施設「ヴィーナスフォート」(江東区青海1)で3月31日、「カジノ・統合型リゾート(IR)」開発による経済効果・雇用創出をPRするシンポジウムが開催された。
カジノを核にホテル・ブランドショッピングモール・コンベンションセンター・劇場などで構成するIR開発で期待できる経済効果・雇用創出の効果や「クール・ジャパン」や文化芸術の世界発信の拠点としての役割となる可能性を一般に知ってもらおうと、国際観光産業振興推進シンポジウム事務局が主催した。
シンポジウムは、企業によるプレゼンテーション、溝畑宏前観光庁長官らの討論、現職議員・文化人らによるパネルディスカッションの3部構成で、IR開発による観光産業の活性化や地域の再生・税収増・雇用創出・文化の発信など、幅広いテーマで意見が交わされた。
会場には当日、一般約500人が来場。お台場を想定したIR開発に対する興味の大きさを示した。
企業のプレゼンテーションでは、MGMリゾーツ・インターナショナル(米)のアラン・フェルドマン上級副社長、マリーナベイサンズ(同)のジョージ・タナシェヴィッチCEOが登壇。ラスベガスやシンガポールでのIRの健全な成功例を紹介した。タナシェヴィッチCEOによる、お台場を想定した日本でのIR展開プランの説明では、全体のシンボルとなる建築物としてアコヤガイの中にパールが浮いているデザインやコイをモチーフにした特徴的な建築デザインのパースを披露。お台場で4,000~5,000億円規模の投資額によるIR開発が行われた場合の試算として、8,210億円の付加価値の創造と10万9900人の雇用の創出が見込めると述べた。
続く討論では溝畑宏前観光庁長官が、外需の拡大と雇用創出を見込むIR開発を、国家の成長戦略として位置付けることの必要性を説明するなどした。
パネルディスカッションでは、歌舞伎役者の市川團十郎さんがラスベガスで発表されたショーなどが世界へ展開されることに触れ、文化を発信する拠点としてのIRへの期待を語り、その中で歌舞伎や狂言をはじめとした日本ならではの古典が担える役割は多いと考えていると話した。
会場には来場者に本場のカジノの雰囲気やゲームの楽しさを味わってもらおうと、バカラ・ブラックジャック・ルーレットを体験できるカジノテーブルを設置。各テーブルにはプロのディーラーが付き、来場者にルールを教えながら実際にゲームを行った。
「お台場カジノ構想」は石原慎太郎現東京都知事が1999年の初立候補時に選挙公約として掲げた。その後、関係法令法など環境の整備が進まず、現時点で実現に向けた具体的な計画はないが、国内のほかの地域での開発案を含めた議論は続けられている。