羽田空港は今月、本格的な国際化・24時間運用開始より1年を迎えたが、利用者からは深夜から早朝にかけての交通サービスの拡充を求める声が多い。
新国際線ターミナルからの深夜0時以降の出発便は、JALのサンフランシスコ便・パリ便、ANAのホノルル便・ロサンゼルス便などの長距離便のほか、各国航空会社の東南アジア便が数多くある。「最終便」はマレーシア航空が深夜1時35分に出発するコタキナバル便(2011年10月スケジュール、運航曜日限定)。「始発便」はアシアナ航空が4時50分にソウル便出発(同)を設定するほか、6時台には各社が近距離便・長距離便を運航する。到着便については23時台・5時台に多くの便が集中するほか、3時~4時台にも定期便がある。
一方で、同空港に乗り入れる京急電鉄と東京モノレールの終電は深夜0時前後で始発は早朝5時台。高速バスもほぼ同様のスケジュールになっている。深夜到着・早朝出発便の航空旅客は自家用車やタクシーを利用するか、空港内や近隣エリアのホテルに宿泊し送迎バスでターミナルに移動することができるが、現実的にはターミナルロビーで仮眠する人が少なくないのが現状だ。
羽田経済新聞が今年前半に実施したオンライン・アンケート(回答数315)では、「羽田早朝出発便、鉄道バス始発が間に合わないときは?」の質問に、最大の約24%が「前夜に空港に到着し、ターミナル内で仮眠」と回答している。夏の旅行シーズンにロビーで夜を過ごし早朝6時台の出発便の手続きを待った30代の男性は「フライト乗り継ぎや遅延時にロビーに朝まで滞在するのはやむを得ないが、これが通常の旅行スタイルというのは辛い」と話す。中には「地上アクセスの整備が実現すれば新たに乗り入れを希望するエアラインもでてくるのでは」と話す航空関係者もいる。
交通各社はすでに終電を遅め始発を早めるなど対応をしているが、現時点では、設備の保守や乗り継ぎダイヤの関係で24時間運行の予定はないという。同ターミナルは2014年に駐機スポットとターミナルを拡張し、宿泊施設の新設も計画する。24時間空港のメリットをさらに生かすために今後、交通アクセスの総合的な対策を求める声が高まりそうだ。