羽田空港から多摩川の対岸にあたる川崎市臨海地区(川崎区殿町3)に7月12日、「実験動物中央研究所(実中研)」の新研究施設「再生医療・新薬開発センター」がオープンした。
同研究所は文部科学省所管の公益財団法人で医療発展に向けた実験動物の開発のため1948(昭和27)年に創設。再生医療や新薬開発に向けた研究と実験を独自に行っている。これまで同市宮前区で活動していたが、同市がライフサイエンス(生命科学)分野の研究開発拠点作りを進める同臨海地区に新研究所を誘致した。施設は5階建てで、延べ床面積は約3480坪。約30ある実験施設には無菌室や最新鋭のMRI(磁気共鳴画像装置)なども備え、iPS(人工多能性幹)細胞を使った脊椎損傷治療のための応用研究なども行うという。
同市は殿町地区を生命科学分野の研究所やベンチャー企業の集積地とする構想を進めており、今年3月、地域の名称を「キングスカイフロント」とすることを決めている。「キング(KING)」は「川崎(Kawasaki)」と「革新(Innovation)」「玄関口(Gateway)」の英単語の頭文字を組み合わせたもので、地名の「殿」にもちなむ。「スカイフロント(SKYFRONT)」は羽田空港の多摩川対岸という立地を意識するもので、国際的な競争力の向上への期待を込めるものだという。
同地区への研究施設の進出は今回が初めて。新施設は中核的施設として位置付けで、今後は県・横浜市との連携の下、同京浜臨海部が国の「国際戦略総合特区」に指定されることを目指す。