東芝は5月、羽田空港から多摩川の対岸にあたる川崎市臨海部の「キングススカイフロント地区」(川崎区殿町3)でワイヤレス充電システムを搭載するEV(電気)車両をANAの社用バスとして運用する実証実験を行うと発表した。
同社と早稲田大学による「EVバス早期普及に向けた充電設備を乗用車と共有するワイヤレス充電バスの実証研究」が、環境省の「平成26年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の委託先として採用。これを受け、ワイヤレス充電システムと同社のリチウムイオン電池「SCiB」を搭載したEVバスを、羽田空港を背景に同地区に事業拠点を置くANAの社用バスとして実験的に運用する。
東芝は垂直方向に17センチ・左右方向に25センチ離れた送電・受電モジュール間でのワイヤレス充電が可能なシステムをすでに開発。この技術をベースに中型と小型の2種類の実験EV車両を本年度中に設計・製造し、2015~2016年度にかけて実験運用する。運行ルートはANAの同地区内と空港周辺の事業拠点を結ぶ路線が計画されている。実験では電気バスのコストや性能に加え、バスと乗用車の充電システムの共通化による効果などの検証も行う。
キングスカイフロント地区は、羽田空港国際線旅客ターミナルから多摩川を挟んだ対岸の「臨空地域」に位置し、生命科学分野の研究所やベンチャー企業などの集積地とする「国際戦略総合特区」にも指定されている。ANAは地区内に面積約9000坪の敷地を確保し、ケータリング(機内食)関連や管理業務などの事業所を置く。全体計画として将来的に敷地を倍増し、約3000人の従業員が勤務する事業拠点にする計画も伝えられている。(取材協力=みんなの空港新聞)