「今世紀で最も明るい大彗星(すいせい)」と言われ、今年末に地球に最接近する「アイソン彗星」を上空から観測できる特別ツアーが、発売開始から数時間でほぼ完売状態となった。
ANAとJALがそれぞれのグループ会社のチャーター便として運航する。12月8日の未明に羽田空港を離陸し、上空で機窓越しの夜空に彗星を観察できる約90分間のフライト。ANAは出発前に宇宙飛行士の山崎直子さんらによるトークイベントを開催し、JALは「天文機長」として知られる森本機長自らが操縦かんを握るなど、「宇宙体験」の演出に力を入れる。
販売はそれぞれ10月3日・4日に開始したが、両便とも窓際席から順に予約が埋まり、数時間でほぼ完売状態に。7日午前中の時点で、JALが通路側の数席を残すのみとなっている(売り切れ次第終了)。航空機からの彗星鑑賞というユニークな企画が、航空ファンと天文ファンの注目を集めたようだ。2人1組の2席の価格は、ANAが9万9,600円、JALが7万6,000円~だった。
アイソン彗星は昨年9月21日に、国際科学光学ネットワーク(ISON)によって発見された。ハレー彗星などの回帰彗星とは異なり、太陽に一度だけ接近する「非周期彗星」。太陽に最も近づく近日点(2013年11月29日)を通過以降は、太陽の熱を吸収・反応して激しく輝き、その明るさは金星や満月を超える大彗星になる可能性があるという。(取材協力=みんなの空港新聞)