国土交通省航空局は3月8日、巨大地震などに伴う津波被害が想定される空港に向けて「津波早期復旧対策」を策定すると発表、沿岸部6空港の「津波浸水想定高さ」も公表した。
東日本大震災による仙台空港などの甚大な被災を受けて2011年10月に策定した「空港の津波対策の方針」を基に、具体的な対応策を整備するもの。同方針では、人命保護のための緊急避難体制の構築と、津波襲来後に早期に空港機能を回復させるための復旧対策の構築が2つの柱となっており、第1の柱への対応としては、津波リスクが高いと考えられる太平洋側沿岸部の7空港(仙台空港、東京国際空港・羽田空港、中部国際空港、関西国際空港、高知空港、宮崎空港、大分空港)で既に津波緊急避難計画を策定している。
第2の柱である津波早期復旧対策への取り組みとして、今回、前提となる各空港の津波浸水想定高さを、内閣府が発表した最大クラスの津波高さに基づいて取りまとめた。東京国際空港についてのみ、現在内閣府が検討を進めている首都圏直下地震や相模トラフ沿いの地震による津波の結果を踏まえて引き続き検討を進める。東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震による津波(2011年8月公表)を約1メートル上回る津波を想定した各空港敷地の最大「津波浸水想定高さ」は次の通り。仙台空港=6メートル、中部国際空港=3メートル、関西国際空港=3.5メートル、高知空港=8メートル、大分空港=2.5メートル、宮崎空港=8メートル。
同局では今後、日本大学理工学部社会交通工学科・轟朝幸教授ら有識者による「空港の津波早期復旧対策検討委員会」を開催。漂流物対策、電源の早期復旧対策、セキュリティーエリアの早期確保対策、アクセス確保・排水対策などの具体案の検討を進める。第1回の開催は今月12日に予定し、5月中に基本方針を取りまとめ、以降、空港ごとに津波早期復旧対策検討会の開催を予定する。(取材協力=みんなの空港新聞)