大田区内で営業する約70軒の公衆浴場(銭湯)は、日本古来の習慣にのっとる「ゆず湯の日」(12月21日)に向け準備を進めている。
「ゆず湯」は1年で最も昼間が短くなる冬至に、ゆずの果実を5~6個半分か輪切りにして湯に浮かべるもの。蒸らしたものを袋に入れて浮かべることもある。ノルアドレナリンという成分が血行促進を促し全身が温まることから、疲労回復や風邪の予防効果があると伝えられるほか、ゆずの果皮に含まれるビタミンCやクエン酸に美肌効果があるとされている。
東京都浴場組合(東京都公衆浴場業生活衛生同業組合=千代田区)によると、「ゆず湯」は「しょうぶ湯」(5月5日)や「ラベンダー湯」(10月10日)などと並ぶ「1年で最も大きなイベントのひとつ」だという。
同組合では都内にある合計約900軒の銭湯で使用するゆずを、高知県園芸連から一括購入する。今年の購入総量は25トン(5キログラム箱5,000個)。同園芸連によると、「農家単位の契約では対応できない規模の量」だという。「全国一の生産量を誇る高知のゆずを毎年東京の銭湯で楽しんでもらえるのはうれしい」とも。区内にある銭湯約70軒は都内最多で、同地域では概算で約2.3トンの高知産ゆずが使用されることになる。
同組合大田支部では「ゆず湯の日」の他にも地域独自の取り組みとして、「朝湯」(1月1日~3日)、65歳以上の区民を対象とした「敬老入浴デー」(1月15日)、血圧測定・健康相談・健康体操を行った後に無料で入浴できる「健康入浴大学」なども実施。年間を通して銭湯の利用促進に積極的だ。
「ゆず湯の日」の実施内容は銭湯によって異なる(一部実施しない店舗もある)。詳細は各銭湯に掲示するポスターで確認できる。